傷だらけの Blossoms (><)
試合終了後に南アフリカのキャプテン シア・コリシが真っ先に向かったのはデリバティブノッコンでイエローカードを受けて10分間の退場を命じられてピッチの外にいたWTBチェスリン・コルビだった。ピッチの横に用意された椅子の上でジャージの中に頭を隠して試合を見ることが出来ずに小さくなっていたコルビ、テレビの画面に大きくズームアップされていた。南アフリカは14人で残りの7分間を耐え抜いて1点差を守り抜いた。そして大会初の4回目の優勝を決めた。コリシキャプテンは力強くコルビを抱きしめた。抱きしめながらコリシキャプテンは171cmの小柄なスピードスターにどんな言葉をかけたんだろう?泣けた。51日間、48試合の戦いが終わった。次のオーストラリア大会は現地で観戦したいと思っている。
感動的なフランスワードカップの決勝前、我らがGaiWu Blossomsはシーズン3戦目を戦った。結果は途中棄権 0-15 で2敗目だ。こうして結果だけを書くと喪失感もあるが決して落ち込むことはない、限られたメンバーでよく戦い抜いたと思えるいい試合だった。試合前、香港チームから助っ人が一人来てくれて16人で臨んだ vs City RC Quakes戦だった。前半序盤、自陣左5m相手ボールのラインアウトでこぼれたボールをうまく拾われてアンラッキーな先制トライを奪われた。
その後はいつもどおりにラック周りのディフェンスに注力しながら相手ゴールまで押し返したりもして一進一退の試合展開だった。ハーフタイムで助っ人の香港人が抜けた後、リザーブ無しのがけっぷちで後半へ突入、10分過ぎた相手陣地に入ったあたりでのスクラム、レフリーの「セット」の声でガツンと肩を合わせたあとHOが崩れおちた。スクラムをブレイクすると顔をしかめて声を押し殺して必死に痛みに耐えていた。プレイは無理だとすぐに分かった。ロックの若手をプロップにあげてその場のスクラムは何とか乗り切った。が、すぐにもうひとりが古傷の悪化でプレイ出来なくなってしまった。レフリーに進言して試合放棄、負けを認めた。限られたメンバーのみで臨んだ試合ではあったけれどその内容は決して見劣りするようなそれではなかったと思っている。よく耐えたし、よく走っていたと思う。まだ3戦目、シーズンは始まったばかりだ 🙂
2点ビハインドで迎えた試合終了3分前、土壇場で逆転勝利を狙う49mのペナルティキックだ。草ラグビーでも緊張するこの場面、それを4年に一度のワールドカップの準決勝でショットクロックを20秒以上も残して決めて見せたスプリングボクスのハンドレ・ポラード!最初のセレクションで漏れたポラードはマルコム・マークスの怪我による戦線離脱によって急遽、チームに召集された。この準決勝でもスターターではなく前半の後半からリボックに変わっての途中出場だった。 こんな痺れまくるPGを決めて見せたポラードに引けを取らない奴が GaiWu Blossoms にもいる。写真の男、ヨッシー・ポラードだ。
自陣10mに入ったところでのスクラム、ポイントを示しながら「2minutes」とレフリーが言う。スクラムがブレイクして顔を上げると攻め込まれながらも必死のディフェンスが続いていた。相手のノックオンで試合終了!「勝った」 24-14、ヨッシー・ポラード、どんなに心強かったことか!僕の中では間違いなくこいつが今日の Man of the match だ。
私の勝手な思入れの試合予想は1勝3敗となりました。予想は大きく外してしまいましたがどの試合もその内容は素晴らしいものでしたね。試合終了間際にインターセプトからの勝利を決定づけたアルゼンチンのトライは5点差を必死に追いかけていたウェールズの戦意を打ち砕きました。80分を超えてフェーズを繰り返すアイルランド、その数は30を超えました。最後はマンオブザマッチに輝いたNo.8アーディ サベアのジャッカルがそのフェーズに終止符を打ちました。精魂尽き果ててて地面に崩れ落ちる選手たち、フィジーはこの大会では私の目には「ツキ」の神様の気まぐれさに振り回されたようだった。最後の試合終了のラックもどことなく不運な印象だ。一点差の敗戦、開催国フランス、ほほ骨の骨折から復帰したアントワーヌデュポンだったが・・・4点ビハインド後半71分のPG,賛否両論あるだろう。タッチに蹴りだしてトライを取りにいって欲しかったなぁ~そう思った。どれも素晴らしい試合だった。中でも私が印象に残ったのはアイルランド vs ニュージーランド戦だ。SH ギブソン パーク、CTB バンディ アキ、WTB ジェームス ロー、この3人はどういう思いでニュージーランドの戦いの舞カパオ・パンゴを見つめていたのか?試合終了のホイッスルのあとグランドに倒れて何を見て何を思っていたのだろうか?世界ランキング1位のアイルランド代表にいて、この3人はニュージーランド出身だ。きっと子供の頃にはあの真っ黒のジャージを着てワールドカップに出場することを夢見ていたはずだ。この試合に臨むその複雑な思いは計り知れない。3人ともすでに30歳を過ぎている。恐らく年齢的にもこの大会が最後のワールドカップのはずだ。アイルランドは意外にも過去の大会でベスト8が最高戦績だ。決勝どころか準決勝にも進んだことはない。試合後に赤く目を腫らしたジョナサン・セクストン、そのすぐ脇で同じように涙を流す息子の肩を抱いて歩く姿が印象的だった。2019年日本で開催されたラグビーワールドカップ、横浜国際競技場に響き渡ったアイルランドコールを今でもはっきりと覚えている。

6点差を逆転するコンバージョンキックがきまったのは試合終了間際79分07秒だった。1987年にニュージーランドとオーストラリアの共同開催で始まったラグビーワールドカップ。ポルトガルナショナルチームは1991年の第2回大会から参戦したそうだ。4回の予選敗退ののち2007年に敗者復活プレーオフを勝ち抜いて初めて本大会へ出場することになった。「プール C」に振り分けられたポルトガルはニュージーランド、スコットランド、イタリア、ルーマニアを相手に4敗して最下位とう結果に終わった。その後、2011年、2015年、2019年と本大会への出場は果たせず今年2023年に2回目の本大会への出場を果たしたのだった。(10月9日の世界ランキングでポルトガルは日本に次いで13位だ)
前半はペナルティキックを1本づつ決めたのみの 3-3 で終了した。後半に入って最初にトライを決めたのはポルトガルだった。するとすぐにフィジーが取り返して 10-10とイーブン、その後1本づつを決めて17-17として緊張した試合展開が続いた。後半の後半、2本のペナルティ決めたフィジーが23-17とリードする。残り時間は3分を切っていた。ここからポルトガルの奇跡の大逆転劇は始まった。フィジーの22mまで攻め込んだラックから右WTBがブランドサイドを走り抜けた。ゴール手前でタックルを受けるもフォローしていた左WTBがゴールポスト右下に逆転に近づくトライを決める。
時計は77分42秒だった。スタジアムの歓声の中、ピッチでは選手が両手を広げて大喜びする。その後冷静にコンバージョンを決めたのが79分07秒だった。再スタートのキックを受けたラックのあと時計は80:00、ボールを後ろに蹴りだしてポルトガルのワールドカップ初勝利の瞬間だった。結果を知った上で夜中に録画でみた試合だった。フィジーを応援するつもりで夜中の暇つぶしの意味合いもあって観た試合だった。