ポルトガルフィフティーン
6点差を逆転するコンバージョンキックがきまったのは試合終了間際79分07秒だった。1987年にニュージーランドとオーストラリアの共同開催で始まったラグビーワールドカップ。ポルトガルナショナルチームは1991年の第2回大会から参戦したそうだ。4回の予選敗退ののち2007年に敗者復活プレーオフを勝ち抜いて初めて本大会へ出場することになった。「プール C」に振り分けられたポルトガルはニュージーランド、スコットランド、イタリア、ルーマニアを相手に4敗して最下位とう結果に終わった。その後、2011年、2015年、2019年と本大会への出場は果たせず今年2023年に2回目の本大会への出場を果たしたのだった。(10月9日の世界ランキングでポルトガルは日本に次いで13位だ)
初戦のウェールズには8-28で敗退、2戦目のジョージアには善戦するも18-18のドロー、迎えた第3戦目、vs オーストラリア戦。不調とはいえ過去に3回の優勝経験のある強豪には14-34で敗退した。そしてワールドカップ本大会ので初勝利を目指して臨んだフィジーとの最終戦だった。
プール戦の最終試合となった ポルトガル vs フィジー、この時点ので決勝トーナメントへの可能性を残していたのはオーストラリアとフィジーだった。フィジーはボーナスポイント付きの敗戦でも決勝トーナメントへの進出が決まる一戦だった。フィジーにとっても決して余裕のある試合ではなかったはずだ。
前半はペナルティキックを1本づつ決めたのみの 3-3 で終了した。後半に入って最初にトライを決めたのはポルトガルだった。するとすぐにフィジーが取り返して 10-10とイーブン、その後1本づつを決めて17-17として緊張した試合展開が続いた。後半の後半、2本のペナルティ決めたフィジーが23-17とリードする。残り時間は3分を切っていた。ここからポルトガルの奇跡の大逆転劇は始まった。フィジーの22mまで攻め込んだラックから右WTBがブランドサイドを走り抜けた。ゴール手前でタックルを受けるもフォローしていた左WTBがゴールポスト右下に逆転に近づくトライを決める。時計は77分42秒だった。スタジアムの歓声の中、ピッチでは選手が両手を広げて大喜びする。その後冷静にコンバージョンを決めたのが79分07秒だった。再スタートのキックを受けたラックのあと時計は80:00、ボールを後ろに蹴りだしてポルトガルのワールドカップ初勝利の瞬間だった。結果を知った上で夜中に録画でみた試合だった。フィジーを応援するつもりで夜中の暇つぶしの意味合いもあって観た試合だった。いつの間にか試合展開にのめり込んでしまってポルトガルがコンバージョンを決めた瞬間では胸が熱くなってしまって視界が涙で歪んでしまった。ポルトガルフィフティーン感動をありがとう。