vs Police RFC

試練か、無情なるノックオン

相手陣地に攻め込んだ5mのラック、前のラックからの移動で少し遅れてシェイプに加わったときラックに絡まれたSHの代わりにボールを出そうするあつおと目があった。鋭いボールが目の前に飛んできた。先制のトライを決めたあと逆転のトライ2本を許した後の反撃の大チャンス。対戦相手の Polics RFC は文字通り香港警察が母体のチームだ。過去に試合の経験もあるチームだ。「硬くて痛い」そんな印象のチームだ。グランドについて時にみた彼らの浅黒い筋肉質の身体から「厳しい試合になるな」という印象は持っていた。トライ2本を決めて試合の流れが相手に大きく傾きかけた前半終了前の15分、伸ばした手にパチンとが当たると後ろに小さく弾けた落ちた。振り向くと後方にいた仲間がすぐさまセービングでボールを確保してくれたのだが無情にもレフリーのホイッスルがなる。「Knock on」、若い仲間から厳しい言葉飛ぶ、二度目だ。当然だ、グランドに立てば先輩後輩、年齢などは関係ない。目の前の相手と勝つか負けるかの真剣勝負の場所にいるのだ。しかも逆転を目指して盛り上がっていたチームの気運を一気に削ぎ落すゴール目前のノックオンだ。心が折れる。貢献するどころかまたチームに迷惑をかけてしまった。潮時かな、試合中にも関わらずそんなことが頭をよぎった。自分が思っているプレイと実際のそれとのギャップが少しづつ広がってきていることを感じている。日常生活ではさほど感じていないギャップがテンションが張りつめた試合では顕著に現れるのだろうか?スクラムを組みながらふと空を見た。抜けるような真っ青な空が広がっていた。目線を間近にいる対面の相手に向ける。褐色の脂肪の薄い頬の皮膚が突っ張っている。レフリーの「セッ」の合図で肩が入れる。ガツンと衝撃を感じる。「硬い、肩がめちゃ硬い」 一瞬の間を置いて頭をあげてスクラムアウトしたボールを探す。後方で仲間が相手と激しくもみ合っているのが見えた。オフサイドラインまで下がる身体が妙に重く感じた。
35分ハーフを戦い終えて41-15で敗れた。試合直後の円陣でキャプテンが言った。「勝てたな」、勝てる相手だったという意味だ。チームの勢いを止めてしまった自分のノックオンを棚に上げて納得していた。チームの力は確実に上がっている。強くなっている。確かにそう思う。皮肉なものだ。強くなればなるほど悩みはは深くなる。

vs HKU Sandybay

ももが泣いた

25分もの間、ずっと自陣のゴール前でのディフェンスを強いられ続けていた。U16Gの試合は今シーズン、変則的に10人制の25分間の一本勝負のリーグ戦だ。試合開始直後から始まった攻防の中、何度もボールをターンオーバーしてはキックで陣地を挽回し続けていた。全員が体を張って相手を止める。その繰り返しだ。Sandybayは先週の試合でHKFCに負けている。闘志を漲らせてゴールに迫ってくる。何度目のキックだったろうか?少し高く上がってしまって距離が出なかったボールを背走してはしる相手のウィングがダイレクトキャッチした。そしてそのまま反転して対角線方向のコーナーへ向かって走り出した。ディフェンスのほとんどが反対側のコーナーに取り残されたままだ。ボールを持った相手のウィングと一直線に真横に走るディフェンダーとのゴールまでの競争になった。すでにロスタイムに入っていることは分かっていた。届かなかった。HKFCは最後の最後で力尽きた。レフリーが右手をあげてトライのホイッスル、コンバージョンはUnsuccessful、0-5で敗れた。

HKU SandybayはHKFCの宿敵だ。U16Gの年代はコロナ禍にあってクラブチームが減ったこともあって合同チームが再編されている。Valley、DB Pirate、それにKukriの合同チーム、もうひとつは、StingrayにTigersの合同チームだ。HKFCとSandybayだけが単独で構成されたチームなのだ。この変則4チームで2022-2023シーズンを戦っている。単独チーム同士という事もあって相手には負けたくないとうチーム同士のプライドの張り合いなのだ。先週の試合はHKFCがトライ数で4-0で勝利していた。

厳しい顔で全員がベンチのほうに戻ってきた。チーム全員の顔に悔しさが滲んでいた。後ろのほうにももが居た。遠目からでも涙目になっているのが見えた。「負けたのが悔しかったんだな」ベンチからみていてそう思った。コーチの周りで円陣を組んで長いミーティングのあとももがそばに来た。近づくにつれて泣きじゃくっていた。少し様子が変だなと思っていると「届かなかってん、タックル行けたのに、届かなかってん」泣きじゃくりながらそう言っていた。すぐに分かった。最後に一直線に追いかけたのはももだったんだ。タックルが間に合わなかったんだ。「行けてん」そう言ってずっと泣きじゃくっていた。するとそれに気づいたチームメイトのシエラが傍にきて一生懸命に「もものせいじゃないよ、もものせいじゃない」と背中をさすりながら声をかけてくれた。「うん、うん」とうなづいて聞いていた。
試合の後、ももが泣いたのは今回で3度目だ。一度目はラックからボールを持ち込んでヘルドアップ(パイルアップ)されてトライ出来なかった時、2回目は2020年1月1日のHAppy New Year Gameで敗れた時だ。悔しくて泣く、いい経験になったいることだろう。次に活かしてほしいと思う。

Congratulations to Gai Wu Blossoms

シーズン初勝利、それでも自己評価は30点!

vs ORIGIN City RC Quakes とのシーズン第2戦、26-10で勝利した。勝負に勝つのは嬉しいもんだ。今までの嫌なことや辛かったことを一気に吹き飛ばしてくれる。チームみんなの笑顔が光っている。「勝てる」、ラインで送られていたチームの参加メンバーを見て思っていた。10年以上Gai Wuで経験していると何か根拠はあるわけではないが「勝てるな」と試合前から分かったりするのだ。そんな意味のない自慢は置いといて、「ラグビーはやっぱりディフェンスだなぁ」と改めて思った試合だった。ビデオを見返してもしっかりと前にでて止めていることがよくわかる。単純にいうとディフェンスの出来が悪いと(ディフェンスを破られると)負けるんだよな。逆にいうと相手のディフェンスをどうやって破るかの戦いなんだな。キックで破るのか、フォワードの縦の突破か、バックスの横展開で破るのか等を組み合わせて戦っていくんだよな。

という訳で試合ビデオはこちらからどうぞ

それでは、自分のパフォーマンスに対する自己評価です。先々週のシーズン初戦と比べてみて自分の出来は、ドロロロロロロ(ドラムロールの音)「30点」当然、100点満点での30点です。まず、自分的によかったところは「スクラム」しっかり組めていた。押されていなかったと思う。自分への努力目標として低く組む、相手が押してきたら姿勢をさらに低くして相手に押させないことに取り組んでいる。今回のスクラムではそれが出来ていたと思う。ダメダメポイントとしては、「走ってない」前回の試合よりは走ることを意識して臨んだのだけれど(試合中はけっこう走っているつもりでいたんだけどね)ビデオを見る限り「全然走っていなかった。ただ前回よりはラックやモールといったポイントには少しだけど絡んでいたな。途中、若いメンバーからラックで「ハルキさん寝てる、起きて」って言われた (><) まぁそれでも楽しかったです。今回の試合は勝ったせいもあるんだろうけど、本当に心から楽しかったんです。また、やりたいと思ったんです。

追記)それからもうひとつ、ちょっと気づいたことがあるんです。走っているときに歩幅を敢えて広くして走るとバランスを崩しそうになるんです。歳とったなと実感するのは自分の歩幅が若い時に比べて短くなっているんじゃないかということ。うすうすは気づいてはいたんですが、えっ!っと再認識したときはちょっとショックでした。それからというもの意識して歩幅を広くして歩いたり走ったり試してみる。すると情けなやバランスを崩しそうになるです。単に軽く走っているだけでですよ。歩いているときはそうでもないんですが、若いときみたく歩幅を広くして飛ぶように走ろうとすると両腕の振りと交互に出す足のリズムが合わなくなっているんです。それを昨日、間違いないとしっかりと自覚したときは結構なショックだったんです。試合直前だというのにです。しっかりとリハビリして早く走れるようになります。「還暦が走っているから僕達もっと走らなきゃ」と言わせたいんですよ 🙂

試合結果などHKRUのページはこちら

 

Weekday training at Happy Valley,

土曜日の試合に備えて

先週に続いて昨夜も Gai Wu Hong Kong の練習に参加してきた。10月の下旬になると夜は20度をきってて気持ちいい。Gai Wu HKのメンバーは若くて元気がいい。ラグビー経験者で構成されるBlazeと初心者も含んだ経験の浅いメンバーで構成されたFlamのふたつのチームがある。毎週、火曜日と木曜日に女子チームも一緒にピッチをシェアして練習を続けている。コロナの前はBlossoms(日本人チーム)のメンバーも、わたしも含めて頻繁に参加していたのでだけれど公共施設の使用に規制がかかってからはすっかりご無沙汰していたのでした。
んで、シーズン開幕戦での不甲斐ない自分を奮い立たせるために先週に続いて昨日も参加してきました。初心者もいるFlamの練習は実戦でも当たりを想定したBlazeのそれとは違ってスピード的にも当たる強さなど私にとってはある意味ちょうどいいレベルだ。練習中も気軽に自己紹介して握手を求めてくる若い子もいる。こうして20や30も歳の離れた連中と一緒に汗をかく機会はなかなかないなと思いながら・・・最後にBlazeとのガチンコのAD、さすがにスピードと強さが違うことを実感する。痛いし怖いけど嬉しいし楽しい。これがラグビーかな 🙂 1時間半の練習が終わってみんな笑顔で「See you next week」と声をかけてくれる。清々しい気持ちでピッチを後にした。いい練習だった。

ラグビーがいっぱい!

先週末からずっとラグビー漬け!

15日、土曜日はお昼に女子ラグビーワールドカップ 「サクラフィフティーン vs アメリア」をテレビで観戦、前半の入りはいい感じだっただけに途中から目立ち始めた小さなミスが結果大きな差となって残念ながら敗退、やっぱり格上の相手との試合では小さなミスが命取りになることを実感させられた試合だったな。ビールを飲みながらのテレビ観戦だったのでちょっと休憩、夕方からはHong Kong Football Clubに出かけて、もものチームのコーチが出場する試合の応援、ももはボールガールで参戦してた 🙂

やっと香港に本格的にラグビーが戻ってきたと実感している。先週 8日の初戦に敗退してからずっとスッキリしない日々を送っていた。気持ちを入れなおそうと参加した木曜日の Honk Kong GaiWuのウィークデートレーニング、若い仲間と体をぶつけて汗をかいてリフレッシュできた。そして気持ち新たに臨んだ日曜日の GaiWu Blossoms の練習、次の試合に向けて先の試合の反省点を修正した。特にフォワードのラックでのディフェンスだ。大きな相手を止めることを意識してダブルタックルを意識してラックAD、目の前にチーム一の巨漢のN藤が迫ってくる。足元にT澤が入る、うえには俺がきっちりと肩からガツンと当たる。N藤が倒れてフォイッスルがなってプレーが止まる。N藤が「ナイスタックル」と言ってくれた。いい練習ができた。次の試合、気持ちを入れて勝ち切りたいと思っている。
練習の後、ももの試合の応援に Sandybay まで移動、Hong Kong Football Club U16G 久しぶりに顔見知りの父兄にあった。顔を合わせるたびに「Hey, Haru san」と声をかけてくれる。まだプレイしているの?試合結果は?などなど、聞かれるたびに「うん、まだプレイしているよ」と答えると「Wow」と大袈裟に笑ってくれる。ももは今シーズンもキャプテンに選ばれていた。チームの円陣から戻ってきて息を荒げて「キャプテンだって」と目を丸くして言ってきた。しっかりタックル行けよと送り出した。今シーズン、U16Gはプレイヤーが減ったこともあってチーム数も4つに減った。単独でエントリーしているのは Hong Kong Football Club、HKU Sandy-Bay RFC の2チームのみ、あとは Vally Fort と DB Pirates の合同チーム、それに Sai Kun Stingray と Tigers の合同チームだ。しかも10人制だ。コロナの影響でプレイヤーが家族と一緒に母国に帰ってしまったことが原因だろう。結果、ふたつの合同チームに連勝して臨んだHKU Sandy Bayとの最終戦、正直なところ難しいだろうなと思っていた。ところがだ!24-0 の完封勝利、みんなしっかりとタックルを続けて自陣5mまで攻め込まれてもトライをさせない。一度はパイルアップでインゴールドロップアウトで逃れた場面もあった。攻撃では自陣10mのラインアウトからきれにオープンに展開、スタンドオフがループを決めて余ったウィングが左コーナーまで走り切ってトライ、見事な攻撃だった。実はこのチームは2年前にシーズングランドチャンピオンを勝ち取った実績のあるメンバーだ。そのほとんどが残っている。新しいメンバーも数人加わってくれて今シーズンが楽しみだ。

Gai Wu Hong Kong Weekday training.

次の試合に向けて

昨日、久しぶりにGai Wu HKのWeekday trainingに参加してきた。8時から9時半までの1時間半、楽しく汗をかいてきた。10月に入ってから香港の夜は過ごしやすくなってきた。昼間の気温も28~29度どまりで30度を越すことが少なくなったように思う。グランドについて遠くからみても男子女子合わせて5~60人以上が集まっているのが分かる。集団に近づいて行って若いメンバーに「Hello、Hello」と声をかけると「Hello」と返してくれる。間違いなく20代だ。顔見知りのメンバーを多くいる。昨シーズン同じように何度かタッチゲームをして知ってる仲間たちだ。みんな笑顔で迎えてくれた。俺らGai Wu blossomsのメンバーはGai Wu Flamというラグビー経験の浅い若手選手中心のチームついて練習だ。最初に4人でランパス、SHを中心にして円を描くようにぐるぐるをランパスを続ける。息が上がる。周りの若手はケロッとしている(泣 それから3人のシェイプからヒットする練習をしてフォワードのラックでごり押ししていくAD、バックス、フォワードに分かれてラインアウト、サインプレイなどの練習が続く。途中、Blossomsのメンバーだけで集まってSHのTyronからBull、SHARKのサイン攻撃を連続する練習をして、あっという間の1時間半だった。練習の最初からとにかく「機敏に走る・低い姿勢」を意識して取り組んでみた。意外と行けるんちゃうかというのが練習を終えての自身の感想です。まぁ日曜日のBlossomsの練習で何か見えてくることを願っている。帰りにキャプテン田中と香港ローカルのちゃーちゃん店に寄った。案の定「うぅ~ん」という味だった。田中は「旨いっすね」とバクバク味のしない水っぽいカレーを頬張って食べていた 🙂

今、開幕戦を終えて

KANREKIこそ謙虚たれ!

75-10 大敗だった。約2年半の厳しい時間を我慢して迎えたシーズン開幕戦、チームとしても個人としてもとても楽しみにしていた戦いだった。なす術なく敗れた。チームとしてではなく自分として何とも後味の悪い試合になってしまった。いや、「してしまった」という表現が正しいと振り返って今、思っている。GaiWu Blossomsのメンバーとしてシーズン開幕戦のスターターとしてピッチに立たせてくれたのに何も貢献できなかった。開始早々に相手に走り切られて2本のトライを許した。その後、反撃に転じて相手陣地深くまで攻め入った左サイドのモール、ブル(SHから直接フォワードシェイプのサイン)の声を受けて走りこんだ。目の前で一瞬ボールがフワッと揺れているように感じた。伸ばした何本かの指先にボール当たってこぼれた。「ノックオン」一瞬頭が真っ白になった。攻め入って高まっていたチームの勢いが一気に消えた。背後からすぐに「チャレンジしたミスだからいいよ、いいよ」若手の声が痛かった。夏場に何度も練習してきたSHからの単純な突っ込みのプレイ、ノックオンした記憶なんかなかったのに・・なんで今、ここで!そう思った。

話は変わるが、ゴルフには「ルールはふたつしかない」という重い言い伝えがあると聞いた。どういう事かと言うと「ひとつめのルールは、あるがままにプレイせよ」だ。すべて結果を受けいれてありがままの状態でプレイせよということだ。そしてもうひとつのルールは「自分に不利になるように判断せよ」だ。二者択一の状況で誰からも見られていない。そんな状況に中で自分に不利になるような判断をしてプレイせよということだ。ゴルフは18ホールを回るのに最低でも4時間程度はかかる。否応なしに同伴競技者の癖や性格が見えてしまう。過去に一緒にラウンドした人たちの中で何人か嫌な気持ちにさせられた人が居た。嫌な気持ちが見えてしまうのだ。
ラグビーも同じだ。気持ちがプレイにしっかりと現れる。目の前にいる相手から逃げてしまうと自分の気持ちは誤魔化せない。同じイギリス発祥のスポーツだからだろうか?逃げる気持ちが見えるのだ。ハーフタイムでチームの誰かが前半の結果に暗くなりそうな気持を鼓舞するように言った。「技術じゃない気持ちだって、しっかりと気持ちで止めよう」俺はどれくらいの気持ちを持って臨んでいただろうか?恥ずかしくなった。後半、相手陣地深くまで攻め入ったときのラック、前半と同じラックからブルのサインでフォワードのシェイプ、SHからパスされたボールが目の前に飛んできた。足を出して体を前に出して手を伸ばせば届くボールだった。手が出なかった。なぜだか分からない。内藤が言った。「もっと出てよ(恐らく、もっと積極的に突っ込んでよという意味だろう)」
今シーズンは特別だ。還暦だ。春先からの練習でもそう自覚しながらやってきたつもりだった。その時から俺はずっと還暦という虚栄の上に胡坐をかいてプレイしてきたのだ。俺はすべてにおいて還暦という「言い訳」を準備してプレイしていたのだ。ピッチ立てば歳は関係ないのに。チームの中にひとつ年下の男がいる。彼は開幕戦、一度もベンチにさがることなく70分間1番のポジションを心を込めて戦いきった。ラック脇では不格好に転がりながら何度もタックルしていた。頭がさがる。「はるきさんがやるから、今年もやらなアカンでしょ」春先にそんな事を言ってくれていた。もう俺は決して歳のせいにはしないぞ。猛省だ。「還暦こそ謙虚たれ」 今、ラグビーがしたい。そう思っている。

 

詳細はこちら:Hong Kong Rugby Union