奇跡の出会い(序章)

Hong Kong ではいろんなスポーツが多くの人に親しまれている。ちいさな子供からお年寄りまで幅広い年代の人たちがスポーツを親しめる環境がごく普通に整っている。ラグビー、サッカー、フィールドホッケー、バスケットボール、日本ほどメジャーではないけれど野球、ソフトボールも年間を通してリーグ戦が行われている。また、日曜日や祝日の早朝にはお年寄りが公園やスポーツグラウントの隅で太極拳らしい体操をやっているのをよく見かける。そんな中でもラグビーやサッカー向けには全天候型の人工芝グランド、ロッカールームにシャーワーなどの充実した施設が香港の中心地区はもちろん、少し都心から離れた郊外でもちゃんと整備されている。公共施設の充実ぶりには本当に感心させられる。このブログはそんな香港で私が偶然出会った彼、LUKE VAN DER SMIT が日本のラグビートップリーグでプレイするという夢を応援するドキュメンタリー記録ブログです。LUKEはきっと今日もひとり早起きをしてジムに出かけていってその日のためにトレーニングをしているはずです。

2018年3月10日、私は娘を連れて香港にあるラグビーグランドのひとつである King’s Park Sport Ground にHong Kong Rugby League 2017-2018 Final を見に行った。その日はHong Kong Rugby League のほとんどのカテゴリのシーズンを通しての決勝戦が予定されていた。午後の早い時間からカテゴリの軽い順に決勝が行われていた。中には女子チームのカテゴリーもあって香港の女子代表の選手も自身のチームでプレイしたりする。そしてカテゴリーの最上位であるPremiershipの決勝、Borrelli Walsh Usrc Tigers vs Societe Generale Valley 戦が夕方6時に始まった。トップリーグとまではいかないが、大柄な西洋人同士が激しくぶつかり合う場面はそれなりに迫力がある。そんな様子をバックスタンドで娘と娘の同級生とそのお母さんも一緒にビールを飲みながら観戦した。序盤は一進一退の攻防だったと思う。結果、22-20 の僅差で Societe Generale Valley が 2017 – 2018 シーズンのチャンピオンに輝いた。試合が終わってみんなで最寄駅まで一緒に歩いて電車に乗った。電車に乗り込んだ時には気づかなかったのだが、我々が車両の中で立っている目の前に見るからにラグビー選手だろなと思われる若い青年が現れた。おそらくPremiershipの試合を観戦していたんだろう。見てすぐにそう思ったのと同時に目があったので
「Are you playing rugby?」と唐突に話しかけてみた。
「Yes.」思った通りだ。
「Which team? 」聞くと「HKCC」とその青年は答えた。
「HKCC、えっ!Hong Kong Cricket Club? 」と聞き返すと
「Yes !」「HK Cricket club.」と繰り返し答えてきた。
そして私はずっと気になっていたことを聞いてみた。
「I have been looking for LUKE at HKCC. Do you know LUKE?」と聞くと
少し驚いた様子で「It’s me」と笑った。ずっと探していたLUKEが突然私の目の前に立っている。奇跡的な出会いだった。すぐにお互いに状況を理解した。LUKEも私のことをずっと探していたんだ。私は少し興奮していた。こんなことがあるのかと心の底から思った。このブログの冒頭に載せている写真がその時に電車の中で撮った写真だ。この時の出会いは一生忘れることはないだろうと思っている。電車を乗り換える駅でLUKEも一緒に降りて連絡先の whatApp でIDを交換してその日は別れた。帰宅したその日の夜にLUKEからメッセージが届いた。


「Hey it’s Luke」 WhatsAppに3月10日 10:46 のタイムスタンプが残っている。
「Hi it’s HARU. Let’s keep in touch」23:34 私から返信
翌日早朝に偶然会えたことに信じられない感じのメールが届いた。LUKEは早朝からジムでトレーナーのバイトをしている。今もそうだが、会ったその日も10時46分にメッセージを送って私の返信を待ちわびながら、翌日のバイトのために早めに寝入ったんだろう。あとからそう思った。

ここでなぜ、LUKEと会えたことが奇跡なのか、また日本のトップリーグになんの縁もない素人の私が LUKE の事に思い入れているのかを説明しておきたいと思う。きっかけは 2017年2月に知り合った同じく南アフリカ出身の Gavin Wilson という男との出会いにまで遡る。私は香港の日本人ラグビーチーム GaiWu Blossoms に所属していて今も立派な?現役のプレイヤーだ。試合にでプレイするのはせいぜい15分程度ではありますが(笑
香港のラグビーシーズンは毎年9月末頃から始まって3月中旬頃までだ。複数のカテオリーに別れていて全ての試合の組み合わせやグランドの割り振りまですべて香港ラグビー協会によって運営されている。それぞれのカテゴリー別にリーグ戦が9月末頃から始まって、3月の決勝トーナメントで終わる。リーグ戦は基本的に毎週末に行われる。2017年2月18日土曜日、我らがGaiWu Blossomのリーグ戦の対戦相手は Dsicovery bay Pirates だった。その日、私は体調不良でプレイできずにタッチジャッジを担当していた。そして対面のタッチジャッジを担当していたのが Gavin だった。

   
(風貌がよく似た二人ですが、左が私、右が Gavin Wilson です。)
私には興味を持った外国人になんとなく関わりを持っていたいというような気持ちから突然声をかけたりする変な癖がある。小学生の頃からそうだった。私の故郷は長崎県の佐世保市で、米軍ベースキャンプと補給基地が街の中心部にある軍港だ。
通っていた幼稚園はカトリックの桜の聖母幼稚園と言って正門から入ると真正面にマリア象がイエスキリストを抱いて立っていた。日本人の子供のクラスの奥のほうに外国人向けのクラスがあって、ベースキャンプで働いている軍人の子供達が多く通っていたのを覚えている。また、時にベースキャンプに米軍の軍艦が入港すると佐世保の中心街のアーケードには米兵が大きなラジカセで音楽を流しながら肩と顎をリズムに合わせて大股で歩いていた。
中学生になったある日、アーケードで米兵に習ったばかりの英語で声をかけた。「What time is it now? 」するとその米兵が笑いながら「おぉ〜じゅういちじ」と日本語で答えてくれた。この時から英語で声をかけることに興味を持ったのかもしれない。少し話がそれてしまった。
そんな私の性格というか癖もあって試合のハーフタイムのときに Gavin に声をかけた。南アフリカ人が話す英語は聞き取りづらい。(さほど英語が堪能な訳ではないのですが、そんな風に思えたんです) 発音はもちろん文法についても中学生のときに習った力量では到底理解できないもので、言われていることも全くわからないまま笑顔で WhatsApp だけを交換した。Gavin のチームんは接戦の末負けたのだがその日の夜に Gavin にWhatsApp でメッセージを送ったみた。その時のやりとりが上の写真だ。日付は2017年2月18日だ。
それから少し経って Gavin からメールが届いた。南アフリカに日本でプレイしたがっている青年がいる。彼の力になってほしいという内容だった。Gavin が言うには子供のときから知ってて、彼の祖父母や母親とも知り合いだという。。ポジションはフランカー、サイズも185 cmに107 kgとサイズもあってセンスもいいし性格もいいという。その好青年が日本でプレーすることを熱望していて日本のチームへ紹介してほしいというものだった。その彼というのがこのブログで応援している LUKE VAN DER SMIT だ。メールを読みながら何故、Gavin が知り合って日も浅い私にそこまで熱くお願いしてくるのか少し不思議に思いながら何とか日本でプレイさせてあげたいなという気持ちになっていった。

Luke Van Der Smit : https://www.youtube.com/watch?v=qkZRkGDaGNc

2017年3月ころ、Gavin から彼、LUKE のプロフィールを送ると連絡があった。事前にYouTube にはプレトリア大学やスプリングボックアカデミーでプレイする様子が映っていた。ボールを持ってステップをきってゲインしたりバックスラインの裏へ走り抜ける様子が映っていた。それを見る限りとても期待できるプレイぶりだった。どんな青年なのか興味が膨らませながら Gavin からの連絡を待っていた。すぐに届くと思いながら1週間がたち、2週間過ぎても LUKE のプロフィールは送られてこなかった。そして2017年3月24日付けの WhatsApp のやりとりで Gavin とのやりとりは途絶えてしまった。その後、私の心の中には何故だか分からないがYouTubeでみた彼のプレイする姿だけが強く残された。

YouTubeでみたLUKEのプレイをふっと思い出しながら、もやもやした気持ちのまま2017年が終わった。年が明けた2018年1月1日元旦!何気なく WhatsApp で Gavin に新年の挨拶を送ってみた。「Happy new year 2018.」「See you soon at pitch.」10日後に Gavin から返事がきた。なんとケープタウンに戻っていたのだ。
なんと驚いたことに Gavin は香港クリケットクラブにあるラグビーチームにLUKE を送り込んでいたのだった。推測になるが Gavin は2017年3月に音信が途絶えてから暫くしてケープタウンに戻っていたんだ。家族の都合で連絡する余裕もなかったのかもしれない。でもそんな中で Gavin は、LUKE 香港のクラブチームに送り込んでいたのだった。

LUKE は、Herbert Smith Freehills HKCC でプレイしているとGavin が言っていた。香港のラグビーリーグは8つのカテゴリに別れている。最上位は Men’s Premiership で6つのチームが所属している。LUKE がプレイしているという HKCC もこのカテゴリーに所属している。残念ながら私が所属している日本人主体のチーム GaiWu Blossoms は Premiership から数えて6つ下のカテゴリーで当然ながら試合のグランドや時間帯も違っててなかなか LUKE がプレイする HKCC を見つけることが出来ずにいた。そしてシーズンも終盤、リーグ戦を終えて勝ち残った上位チームだけで行われるシーズン決勝トーナメットの決勝が行われた3月10日に LIKE Van Der Smit との奇跡の出会いとなったのだった。